「ヌワラエリア オーナー 前田勝利さん」 第3回
『"本を贈る"という楽しみ方』
自分の世界をぐんぐん広げてくれる、本との出会い。前田さんが提案するのは、贈る楽しみ。
大井:一番お好きな建築家はどなたですか?
前田:僕は、やっぱりアルバー・アールトが一番いいですね。
大井:その意見には、ものすごく賛成です。最高ですよね。
前田:僕も20数年前に見に行きましたよ、アールトを。鳥肌が立ちました。何でもない、本当に何でもない建築なんですけどね。
大井:でも、とてもヒューマン。
前田:そう!何かこう空間から、あったかさがバーッと伝わってくるというか。ああいうスケール感が日本の建築にはなかなかない。日本なら吉村順三とか村野藤吾とか、あそこらへんがいいですね。
大井:吉村順三の「小さな森の家-軽井沢山荘物語」という写真集は、ずっとロングセラーです。
前田:あれは、いい本ですよね、あまり建築に詳しくない人にプレゼントするにも最高です。僕は、お歳暮やお中元に本を贈るっていいと思う。一昨年、東京から「古道具坂田」の坂田和實さんが来られた時に、彼の「ひとりよがりのものさし」という本を、知り合いに「はい、お歳暮」と何册も配ったことがある(笑)。本っていうのは、そういう使い方もできるんです。変なものを贈るよりも絶対に喜ばれる。
森田:本は、その人に未知の世界を与えられますからね。
大井:それにしてもここには、本当に最高の本がありますね。本選びについて、お聞かせ願えますか。
前田:僕の場合、子どもの頃から本が好きというわけではなかったんです。小学校の頃は、野山や海、川を駆け巡り、自分で遊び道具を作っては夢中になって遊びました。でも中学か高校の頃だったかなあ。新潮社の「100册の本」っていうのがあったんです。これをとりあえず読んでみようと思ったのがきっかけだったような気がします。
担任の先生が、夏休みなどに長篇の本を1冊選んで読んでみたらいい、そういう夏休みの過ごし方もあると言われたのも印象に残っていたんでしょう。たしか吉川英治の「宮本武蔵」を読んだ記憶があります。 その後、建築を始めて、最初は仕事の一貫として買い始めたんですが、だんだんだんだん面白くなってきて。同じく本好きな先輩から、面白い本を教えてもらったりしました。ウィルソンの「アウトサイダー」を読んだ時、あー、これは面白いと思って。そうなると、自分でもどんどん買い始めるでしょ。それがエスカレートしていって、もう雑貨感覚になってしまった(笑)。この椅子を買うのと同じ感覚で、本を見るようになったんです。これは面白そうとか、表紙がキレイだとか、そういうものも含めて買っていく。そのうち面白い作家に出会って、その作家の作品を片っ端からという具合に。 (つづく)






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