「ギャラリー・モリタ オーナー 森田俊一郎さん」 第7回
「絵を買うという行為」
「自分の好きな絵を買う」という経験がある人は、まだまだ少ない。しかし、なかでも男性より女性の方が思いきりがいいようで。
大井:女性の方が敏感ですよね。スローライフ系という新しい流れも出てきていますし。
森田:「絵を買う」という行為は、今の日本の中ではお金持ちの道楽的な要素が強かったりするんだけど、ほとんどの人にとって絵を買う自分というのは、今までの自分にはない姿なわけでしょう。でも、ある瞬間、どうしても自分のものにしたい、他人に奪われたくないっていう衝動が生まれるんです。その時忠実に自分の魂の赴くところに飛び込んでしまうエネルギーは、女性の方が断然強いね。もうひとつ女性ですごいなと思うのは、仕事をやめたからとか大学をやめたからといって絵を買っていく。あれは男にはない感覚だね。男はね、弱くなっちゃう。ここにいると女性と男性の本質的な違いがすごくよくわかります。
大井:女性の方が動物的、男性は社会的な性という気がしますね。
森田:こういう絵にふれるとか、音楽にふれるという感覚は、動物的・獣的なんですよ。社会的なところが強いと、例えば明日は仕事があるからライブに行けないとか、そういう本来、人間が持っている直感や本能みたいなものを信じて生きている人の感覚と、社会にならされている人の感覚というのは、本当に違います。僕はもっともっと自分の持つ本能的な直感を、アートによって呼び覚まして欲しい。アートって高尚なものにとらえられがちだけど、それだけじゃない。もっと身近なものとしての役割があると思います。結局、アートというのは、未知の世界に入って、感じれば感じるほどもっと奥深いものを与えてくれるものだから。(終)
<http://www.g-morita.com/>
アートを普段の暮らしにとけこませたい。そうすることで自分の感性を磨き、直感を信じて行動する勇気がうまれる。絵を買うという行為には、そんな原始的な意味が込められているように感じた。「画廊 香月」の森田さんは、これからもさまざまなアプローチを通して、アートと人、アートと生活をプロデュースしていくだろう。画廊に行ったことがなくても、ぶらりと気軽に訪ねてみよう。横幅119cmのテーブルに見知らぬ人と向かい合い、絵のある空間にひとり佇んだ時、一体どんな気持ちを抱くのか。心に芽生える新しい自分との出会い、それがいちばんの楽しみだ。
(構成・文/小坂章子)






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