「ギャラリー・モリタ オーナー 森田俊一郎さん」 第6回
「自分の物差しを磨いていく」
生業としていることへの愛情が感じらないお店が急増し、画一化された大型店が増えている世の中。こんな時代だからこそ、個人オーナーの頑張りが必要なのだと大井さんはいう。
森田:個人オーナーっていうのは、個人の感情が出せる。今はインターネットという手段があるから、個人の思想や感情がそのままストレートに伝わる時代でもある。
大井:だから大きな企業で嘘をついている企業は、ばれやすくなっていますね。「アルネ」が受ける時代というのも、可能性を感じるんです。これからは、個人印の嘘のない商品が注目を集めると思う。

森田:絵に関してもすごく感じるんだけど、もう大人達、嘘をやめようよという若者達の声がある。芸術作品って、たとえ1円でも出しちゃいけないものもあれば、1億円でも安いというものもあるんです。じゃあ、その価値判断を相手に任せるのか、自分で選びとる目を養うのか。今は、自分の物差しを持つ人が少ないから、全部他人やメディア任せになる。そういう自分の物差しをつくったら、価値観って随分変わるんじゃないかなと思います。音楽にしても、一度本物を知ったら、今まで何の気なしに行っていたライブが、ある瞬間から受け入れられない自分に気がつく時があります。それって、もしかしたら成長って言えるのかもしれない。
大井:僕も大阪でアート関係の仕事をやっていたんですが、日本の場合、いいアートに触れる機会が少なすぎるから比べる材料がない。例えば、少しでもジャズを聴いていたら、ああこれはこのレベルだなとか、これはすごいとか分かると思うんですけど、ちゃんと見たり聴いたりしたことがないから分からない。圧倒的に機会が少ないという状況を何とかしなくてはと思います。
森田:ただ惰性的に毎日を送るのでなく、昨日とは違う新しい明日に出会うのだという生き方からこそ、一流のジャズや展覧会をキャッチすることが可能なのだと思う。だから出会いは偶然ではなく必然なのだと。人と同じもの着て、同じもの作って、同じものを食べて、そんなことでアートなんか生まれないからね。だけど、今ようやく社会というのは、人と違うオリジナリティという価値観に気づき始めた。だから、まずは今までの自分とは違った異質な世界にどんどん飛び込んで、新しい自分と向きあわせる習慣をつけていくことが大切。画廊に来られるのは、女性が比較的多いんだけど、常に好奇心でいっぱいですよ。画廊は新たな世界に飛び出す扉です。何かを求める人にとって、とても大切な場になると思います。 (つづく)






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