キューブリックの店内では天井から吊り下がったBOSEのスピーカー(高校の同級生からの開店祝。感謝!)から一日中音楽がながれています。学生の頃から音楽は大好きだったので、本屋になって一日中音楽を聴いていられるのは、この上なく幸せを感じます。
とは言うものの、全く自分の趣味だけで曲を選んでいいかというと、そうもいかないのが難しいところです。ロック、ジャズ、ボサノバ、クラシック、など幅広く好きなジャンルがあるのですが、いくら美しい曲でもあまり静か過ぎたりすると店内がまったりしてしまうので、適度にテンポのある曲がいいようです。
また、いい曲でも、過去に大ヒットしたようなものだととちょっとつまらないし、邦楽曲のようにあまりはっきり歌詞がわかりすぎてしまうのもBGMとしては適さないように思います。
そんな条件のもと、開店から4年以上たった今でも当店のBGMとして生き残っている優秀なアルバムを少しずつ紹介していきたいと思います。
CMS-1003 2600円
福岡を拠点に活躍するジャズピアニスト細川正彦氏が結成したトリオ(ベース小牧良平、ドラム・パーカッション中村 健)の第一作。
自ら立ち上げた自主制作レーベルCMSからの発売ながら、「ジャズ批評」誌のジャズオーディオディスク大賞・特別賞を受賞するなど各方面で高い評価を得ています。
S.スワロー、H.シルバー、M.デイビスなどのスタンダードからオリジナルまで全10曲による構成。力強く伸びやかなピアノプレイを中心に、流れるような展開で進むその演奏は、まったく飽きさせることなく自然に空間に溶け込みます。クリアに響く録音のレベルもすばらしく、ジャズ初心者の方にもオススメの一枚です。当店やCATFISH RECORDS、HMV、ディスクユニオン、Amazonなどにて発売中です。
4月5日(木)の20時からは、春吉の「ニューコンボ」でライブも開催されますので、お近くの方は足を運ばれてみてはいかがでしょうか。
東芝EMI ¥2548
以前紹介した「今宵楽しく」は、その記事を信じて購入してくれたK大学のI先生から「最高だった」と大変感謝されました。そう言われるとこちらも嬉しくなるので、同じイヴァン・リンスをもう1枚紹介します。
この「ノス・ヂアス・ヂ・オージェ」は、その「今宵楽しく」の次の年の78年に発売されたもので、「ある夜」(79年)、「ノーヴォ・テンポ」(80年)と続くイヴァンがEMIレーベルに残した4部作のひとつです。ライナーノーツによるとこのEMI時代が彼の最もノッていた時期のようで、その後多くのミュージシャンがカバーした曲の大半がこの時期のアルバムに収録されているそうです。
どの曲も洗練された美しいメロディや心地よいリズムを持っていて、流れるような展開で進んでいく素晴らしいものですが、一番の魅力は彼の声にあるような気がします。伸びやかでいて切なさも感じさせるその歌声は、一度聞いたら忘れられない深い印象を与えてくれます。
このアルバムは最近購入したのですが、早速店でかけている時に問合せがありました。3曲目めの「神の旗」が特にお奨めです。
東芝EMI ¥2300
現在発売中の月刊プレイボーイ(06年3月号)では40ページ近いコルトレーンの大特集が組まれていますが(今時こんな男性誌は貴重です)、その表紙を飾っているのがこのアルバムです。
タイトルどおりブルーのフィルターがかけられたとても印象的なジャケットですが、思索に耽っているかのように口元にあてられた拳の中には実はキャンディーが握られていたとは知りませんでした。そう言われて良く見ると確かに棒の様なものがわずかに写っています。
コルトレーンは紛れもないジャズの巨人なわけですが、この特集でも後藤雅洋氏が「コルトレーンは口に苦し!? 難解には理由がある」という文章を寄せているように、最高傑作とされる「至上の愛」のよさが万人に理解できるかというと疑問のような気がします。そんななか、ビギナーが聞いても十分楽しめるアルバムがこれではないかと思います。
名門ブルーノートレーベルに残した彼の唯一のリーダーアルバムで、以前紹介した天才トランペッター リー・モーガンも参加して伸びやかなソロを披露しています。テンポよく気持ちのいい掛け合いの続くご機嫌なアルバムなので当店では昼夜問わずよくかけています。